心憂しども旅路は続く

稼いだ日銭で国内を旅する24歳サラリーマンの雑記。

川越① ~身近といえど侮るべからず~

コロナ禍も少し落ち着いてきた最中、

近場に日帰りで繰り出すことにしました。

行先は電車で一本。普段と逆方向に揺られます。

 

都心郊外の街並みから農村風景に変わり、それからまた郊外の街並みに変わりました。

あっという間にたどり着いたのは埼玉・川越。

小江戸として知られる町です。

都内からの日帰り旅の定番中の定番です。

すでに2回ほど来たことがありますが、また違う発見もあるかもしれません。

そんな期待を込めて、駅から散策を始めます。

初夏にしては強い日差しの日でした。

蒸れて仕方がないのですが、マスクはしっかりと着けました。

 

大正浪漫夢通り

からしばらく歩いていくと、新しいマンションに交じって古い建物がぽつぽつと見受けられるようになります。

途中、いい雰囲気のお寺を見つけました。

散策中、寺社仏閣にはとりあえず入っちゃいます。

f:id:chiita1996:20201018100918j:plain

蓮馨寺という浄土宗系の寺院です。

「おびんずる様」というお釈迦様の弟子の像が鎮座しており、病気の治癒に効果があるんだとか。

この時世です。おびんずる様も奮闘していることでしょう。

頑張ってほしいという気持ちと、余計なお世話でしょうが無理しすぎないでという気持ちが半々です。

医者の不養生ならぬ仏の不養生では、現し世の私たちもちょっと不安ですからね。

ちなみに「びんずる」は「賓頭盧」と書くみたいです。

 

蓮馨寺からほど近いところにレトロな雰囲気漂う通りがあります。

それが大正浪漫夢通りです。

f:id:chiita1996:20201018102713j:plain

f:id:chiita1996:20201019223648j:plain

短い通りですが、大正から昭和初期の店舗が密集しています。

所謂「看板建築」と呼ばれる洋風の自由な店構えです。

コーヒーよりは「珈琲」、食堂よりは「パーラー」。

そんな呼び方がしたくなる、おしゃれな意匠が凝らされています。

f:id:chiita1996:20201017225014j:plain

なかでも通りの角にある武州銀行川越支店ルネサンス調建築は見事なものです。

今では川越の商工会議所として使われています。

こうして今もなお大事に使われているのはとてもいいことです。

f:id:chiita1996:20201018105033j:plain

武州銀行の真向かいにはさっそく古い建物が出迎えます。

さて、ここからは川越の真骨頂、蔵の街までもうすぐです。

 

蔵の街・川越一番街商店街

さて、蔵の街までやってきました。

f:id:chiita1996:20201018110448j:plain

f:id:chiita1996:20201018120847j:plain

重厚な造りの蔵がびっしりと建ち並んでいます。

黒々とした漆喰や瓦がどっしりとした格好良さを与えています。

大学一年生の時、この格好良さはあまり理解できなかった気がします。

私自身に「世界が変わった」なんて劇的な変化はありませんが、

それでも旅をすると視点くらいは変わるものなのでしょう。

小市民にはちょうどいい成長ですかね。

それにしても、どうして川越にこの街並みが形成されたのでしょうか。

 

川越は舟運で江戸期から栄えた商業の街です。

「川越商人」という言葉ができるほどの富がこの地にもたらされました。

江戸とのつながりの中で蔵造りの建物がこの地にも建ちます。

ところが、明治時代に川越を大火が襲います。

燃え残ったのは蔵造りの建物でした。

蔵は耐火建築としての役割があります。

蔵に使われる漆喰は水酸化ナトリウム、要は石灰です。

燃えにくいから大事なものを貯蔵するのに蔵は使われるわけです。

そこに着目した川越商人たちは蔵造りの建物を続々と建てました。

さらには自身の富を顕示するためにも意匠はより豪壮なものにと、

凝るようになり今の街並みが形作られたのです。

f:id:chiita1996:20201018113251j:plain

その象徴的な部分です。

2階の窓には観音開きの扉が、屋根の端には分厚い鬼瓦が付いています。

ある意味、機能的にはなくてもいい部分なのかもしれません。

でもそこにこだわるから川越なのでしょう。

オードリー春日は川越に感動して鬼瓦の一発ギャグを思いついたとかつかなかったとか。

 

冗談はさておき、川越のランドマークといえば時の鐘です。

f:id:chiita1996:20201018114700j:plain現存するものは明治の大火後の再建で、4代目だそう。

さかのぼるとこの地に川越城があった江戸時代からの歴史があります。

侍も聞いた鐘の音は、今も川越で1日4回鳴っています。

f:id:chiita1996:20201018115211j:plain

時の鐘のそばでひと際目を引くのはカタカナで書かれた「フカゼン」の文字。

ここは 250年以上続く美術用品店です。

川越の蔵は「店蔵」とか「見世蔵」といわれるタイプのものです。

つまり、貯蔵庫ではなく店舗として使われてきたということです。

田舎の古民家の離れにある土蔵とはまた異なるものです。

f:id:chiita1996:20201018115621j:plain

蔵造りの街並みから一歩引くようなところで異彩を放つこの建物。

こちらはなんと埼玉りそな銀行の川越支店です。

今年の6月まで有人店舗として、いまは移転に伴いATMコーナーとなっています。

こちらも川越商人の出資に伴い建てられた国立銀行が元です。

 

川越の蔵の街のエリアは「重伝建」といいます。

正式名称は重要伝統的建造物群保存地区です。

長いので重伝建とよく略されます。

詳しくは文化庁のHPで。

www.bunka.go.jp

のちのち、重伝建をテーマに何か書こうと思います。

調べてみると、なかなか面白いんですよね。

とりあえずは「文化庁が指定する、保存する価値が高いと認められた歴史的街並み」ということです。

 

 ②に続きます。

travelthinking-mp3.hatenablog.com