心憂しども旅路は続く

稼いだ日銭で国内を旅する24歳サラリーマンの雑記。

前橋② ~「ナンバーワン」にも「オンリーワン」にもなれなくとも~

前回の記事 ↓

travelthinking-mp3.hatenablog.com

 

新前橋駅前橋駅中央前橋駅と移動してきました。

ここからは街歩きです。

千代田町周辺をぶらつくことにします。

 

前橋の商店街を歩く

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前橋銀座通りです。

ここは前橋の歓楽街、飲み屋が集中するエリアです。

もっとも、午前中ではその活気を窺い知ることはできません。

ただ、営業しているかどうかは判断に困る風体のお店が多いです。

日曜の午前中でも歓楽街なら、頭を抱えながらふらふら歩いてる人がいてもおかしくないですしね。

街並み自体は猥雑というよりかは、とてもよく整備されて見えます。

歩行者天国というわけではないのですが、この通りでは路面の色が統一されて明るい印象です。

それでいて、レトロな建物も多いので、画一的な繁華街という感じはしません。

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大きなズワイガニもいます。

 

銀座通りを歩いていくと、飲み屋よりも普段使いの路面店が増えていきます。

大きなアーケードの入り口が見えてきました。

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ここも前橋の歴史ある商店街、オリオン通り商店街です。

さっそく中に入ってみます。

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なかなかに立派な全蓋アーケードです。

ここはかつて、オリオン座という映画館があったそうです。

オリオン座があるからオリオン通り

いい名前じゃないですか。

 

とはいえ、ここも人通りが多いというわけではありません。

そんな中、まだ開かぬうちに行列ができている店があります。

tabelog.com

群馬初のラーメン二郎がオープンしたばかりでした。

早くも前橋では受け入れられているようです。

もちろん、私も列に並びます。

なんだかんだで列に並んでから、1時間ほどは待ったでしょうか。

ようやくではありますが、ありついた二郎は無類のうまさです。

食べ終わってしばらく呆けてから、また歩き始めます。

 

広瀬川

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先ほどの中央前橋駅でも眺めた広瀬川です。

ここも柳の木が川沿いに並んでいます。

なんとも落ち着いた雰囲気です。

水は清らかですが、それでいて剛とした勢いもあります。

ここは利根川から取水した灌漑用水としての歴史があるのだそうです。

大らかな利根川の流れが、前橋の街へ自然の恵みを分かち合うかのようです。

川沿いには遊歩道が整備されており、散歩コースには最適でしょう。。

前橋は「水と緑と詩のまち」として広瀬川萩原朔太郎をシンボルにしています。

①の記事でも引用した萩原朔太郎はこの街の生まれです。

決して、前橋で過ごした時期が順風満帆というわけではないのですがね。

それでも、日本を代表する詩人を生んだ文化的な下地には、この風土が寄与するものもあったかもしれないなあ、と。

 

ここからはバスに乗り西方へ移動します。

後で知ったのですが、まだまだ前橋には大きな商店街があったようです。

中央通り商店街、弁天通り商店街、立川町通り商店街、とアーケードを持つ商店街が徒歩圏内に広がっていたのでした。

勉強不足で不覚をとった思いですが、後の祭りですね。

しかし、関東圏でこんなにアーケード商店街が残っている街も珍しい。

老朽化で撤去してしまうところも今は多いのです。

なんとなく、それも前橋という街のヒントになる気がします。

 

群馬県

バスで群馬県庁まで来ました。

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ではなく、

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近代的な高層のビルです。

もちろん理由もなく、わざわざ県庁に来たわけではありません。

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この素晴らしい眺めを観るためです。

県庁の最上階は展望台になっており、前橋のはるか遠くまで見渡せるのです。

しかも、これが無料で入場できるのですから、至れり尽くせりです。

美しい山々に抱かれた前橋の街が一望できます。

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上州の名山、赤城山。雪化粧しているのが見えます。

この展望台では「上州三山」と呼ばれる赤城山榛名山妙義山すべてが観られます。

おそらく、群馬でも一度に見渡せるのはここだけでしょう。

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広々としたロビーは休憩にもうってつけでした。

しばし、山々を眺めながら、ぼんやりとします。

実は、前橋がすべての県庁所在地の中でいちばん海から遠いそうです。

長野や甲府、奈良をおさえて、というのはなんとも以外に思えます。

でも、ここを流れる利根川は千葉の銚子まで滔々と流れていくのです。

「前橋のこと、何も知らなかったんだな……」

 そんな陳腐な恋愛映画のようなセリフが思わず脳裏に浮かびました。


 勝負では表せない前橋の独自性

「高崎VS前橋」。

そんな印象を持ってやってきたわけですが、実際のところは比較のしようがないと思いました。

というのも、前橋という街にマイペースというか気にしないというか、そういう気風を感じたのです。

もちろん、歴史的に見れば主導権争いはあったのでしょう。

しかも、「商業都市VS行政都市」というある意味わかりやすい図式もあります。

でも、前橋を歩いて感じたことに、「もともとあるものを少し洗練させる」という点があります。

例えば、商店街。商店街の路面が統一されていました。

工夫次第で「古い」も「レトロ」に見えるものです。

また、アーケードも単に放置するだけでは、今日までは残りません。

広瀬川も、柳と遊歩道を整備するだけでも文化的な空間に様変わりです。

でも、それが目に見える発展に繋がるかというとそうとは言い切れません。

そういう点では高崎のほうが「商業都市」らしい街なのだと考えます。

でも、その一方で前橋は文化的ストックを活用するという選択をしているのではないでしょうか。

 

文化的なストックがない街はありません。

しかし、それが街の発展に必ずしも相容れるものではないのです。

ややこしい話ですが、古い商業地だって文化的なストックです。

でも、開発はやはり必要なことであり、そういう場所もやがて消え行きます。

(さらにややこしいですが、新しい商業地も次世代のストックになりえます。)

 

前橋は今あるストックを大事にしながらもまちづくりをしているようにも見えます。

ただ、やっぱり難しいところですね。

それが魅力的に見えるかどうかは、結局のところその人次第なんですよね。

少なくとも私には前橋はとても魅力的に映りました。

でも考えてみると、もっとわかりやすい文化的なストックがある街もごまんとありますよね。

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川越はわかりやすさがあるから観光地たりえますが、前橋を観光地としてとらえる人は、そういないと思います。

しかし、商業地やベッドタウンの利便性という土俵に上がってしまうと、軍配はどうしても高崎に上がります。

 

だからこそ、一度、他の街のことは考えずに、純な目で前橋を観る必要があるのだと考えます。

というのも、比較で考えてしまうと、「独自性」というものは引き合いに出すタイミングってないのかもしれないですね。

比較しようがないから「独自性」といえるのでしょう。

街はどうしても利便性という比較の基準からは逃れられません。

ベッドタウンも多い関東近郊ではその傾向が強いと思います。

それゆえに、商業も街並みも画一化しやすいのは言うまでもないです。

ただ、少なくともそれは住む人、通勤する人を考えれば自然なことです。

そこにおもねりきらないから前橋が「近くて遠い」県庁所在地なのかもしれません。

まあ、私が観たのはあくまでほんの一部分です。

講釈を垂れるには、あまりに断片的でしょう。

だから、考察はいったんここまでにします。

 

でも、やっぱり言いたいことはあるのです。

豊かな山々、利根川の流れ、文化の香り、、、

悪い街なんてありはしませんが、前橋はとってもいい街なんです。

尖ってないけど独自性はある、そんな路線でいいのではないですかね。

オンリーワンと呼ぶには大袈裟かもしれません。

でも、そのささやかな独自性がキラリと光る、それもまた魅力だと思います。