心憂しども旅路は続く

稼いだ日銭で国内を旅する24歳サラリーマンの雑記。

中銀カプセルタワー① ~黒川紀章設計の現代建築に潜入~

最近とてもおもしろいものを観てきました。

過去の旅について書きたいことはたくさんあるのですが、

「鉄は熱いうちに打て」です。

今回は旅行記というよりは体験記という感じで書きたいと思います。

行ってきたのは中銀カプセルタワーです。

 

中銀カプセルタワーとは?

建築の勉強をしている人ならピンとくるかもしれません。

あとは新橋や汐留あたりに通勤している人は、目にとめているかもしれませんね。

とはいえ、全くの門外漢の私は友人から見学の誘いを受けるまで、恥ずかしながら名前も存在も知りませんでした。

私のような人も多いかと思いますので、まずは簡単に中銀カプセルタワーについて解説します。

建築に詳しくない人でも、黒川紀章氏という人物の名を一度は聞いたことがあるかと思います。

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日本の現代建築の先駆者、世界的に知られている人物です。

もっとも私の年代だと、都知事選に立候補していたおじさんというイメージが強いんですけどね。

そんな彼が設計し、1972年に竣工した世界初のカプセル型のマンションです。

カプセルホテルではありません。カプセルマンションです。

しかし、画期的だった建物も、今や築50年近く。

老朽化により建て替えられるかもしれないとのこと。

今は保存を目指す住人達がさまざまな活動を行っています。

www.nakagincapsuletower.com

プロジェクトでは活動の一環として、内部の見学会を開催しています。

住人の方がお住まいになっている現役の建物を観られるまたとない機会です。

今回は友人が申し込んでくれました。僥倖です。

 

外観を眺めてみる

さて、新橋駅から汐留方面に歩いていきます。

住所としては銀座8丁目ですが、銀座の端も端なのです。

新橋駅、汐留駅築地市場駅の三角地帯の中間くらいです。

汐留の電通ビルの歩行者デッキまでくるとその外観を眺めることができます。

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なんとも個性的な外観です。

カプセルがテトリスのように積み重なっています。

無機質なようでいて、細胞のような有機質じみたものも感じますし、

ひとつひとつの窓もよく見てみると、生活感に溢れています。

「中銀」の文字が刻まれた赤錆びた塔屋も外観にアクセントを与えています。

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手前には首都高が通っています。

何も知らずにここを通ったら、さぞ目を惹かれることでしょう。

個人的には、隣の「髙𣘺監理」のビル看板の味も好きです。

跨線橋を渡り、ビルの真下に行ってみます。

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近くで見ると、その立体的な造形がよく観察できます。

カプセルのひとつひとつの間に隙間がある、独立した造りです。

また、いくつかのカプセルから長い管が下へ伸びています。

なんなんだろうとこの時点では思っていましたが、この後わかることになります。

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表示が「中銀カフセルタワーヒル」になっていました。

挨拶代わりの強烈なジャブを喰らったような気持ちです。

表玄関の住宅表示がまさか修繕されていないとは………

 

さて、参加者もぼちぼち集まり、プロジェクトの代表の方がお見えになりました。

代表の方もここに魅入られた住人であり、なんと10個以上のカプセルを購入したそうです。

そう、ここは賃貸ではなく分譲のマンションなのです。

いまではプロジェクトの一環で、マンスリーの賃貸もやっているそうですが、分譲である以上住人たちによる管理組合があります。

管理組合は住人たちの議決で物事が決まりますが、建て替えと保存の間で住人達も真っ二つに分かれているそうです。

分譲である以上、住人たちがこの建物の命運を握る、ということになります。

著名な建築がなぜ建て替えの危機に?と思っていましたが、こうした事情があるのですね。

こればかりは外部の人間がとやかく言っても仕方のないことです。

ただ、保存派の住人達の熱意はひしひしと伝わってきます。

こうした見学会や出版活動、映画のロケ協力など手広く行っています。

クラウドファンディングも行ったりしているそうです。

そして何よりも、建物の説明をしている代表の方がとても楽しそうで誇らしげに見えました。

見学者たちも熱意にあてられてか、皆一様に期待に胸を膨らませているように見えます。私も同様です。

さて、ここからは内部の見学です。

表玄関から裏口に移動します。

 

②に続きます。