心憂しども旅路は続く

稼いだ日銭で国内を旅する24歳サラリーマンの雑記。

夕張① ~消える鉄路を前にして~

北海道夕張市

かつて炭鉱で栄えた空知地方の中でもひと際栄えた街。

ひと昔前なら高倉健さん主演『幸福の黄色いハンカチ』、

そして、現代の人には何といっても財政破綻のイメージが強いでしょうか。

 

そんな夕張市を訪れたのは学生最後の長期休暇中、

石勝線夕張支線が廃線となる、約1か月前のことでした。

あらかじめ言っておくと、自分は鉄道ファンというよりかは鉄道で旅行するのが好きです。

車両の名前とかはてんでわかりません。

旅をするうえで必要不可欠なので人より格段詳しい自負はありますが。

のんびりと無人駅で電車を待つのは何事にも替え難い時間です。

あといつでも酒が飲めます。

 

ただ、鉄路が「街」を構成する要素の一つだということは間違いないと思っています。

私は人の営みが綿々と受け継がれていく「街」が好きなんです。

営みの中で鉄路という要素が消えてしまうこと、それがどういうことなのか。

それを確かめたいと思っていたのです。

  

新夕張

特急おおぞらで夕張市の玄関口、新夕張駅にまず向かいました。

石勝線はここから夕張支線に分岐し、谷間を縫うようにして夕張の市街へ向かいます。

本数は少ないですが、札幌と直通の高速バスのほうが正直使い勝手がいいです。

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廃線も間近という時期なので、駅には続々と所謂「廃線鉄」の人が集っています。

駅員さんは記念切符や乗車券の発行に忙しく追われていました。

古びた車両がホームに来ると、雪崩のように人が乗り込んでいきます。

炭鉱で栄えていた時はこの駅も常にこんな感じだったのかなあ、

そう想像を働かせつつ、つり革を掴みながらガタガタと揺られます。

この先がかつては一大都市だったころ、この路線は確かに幹線だったのです。

 

清水沢地区

降り立ったのは終点ではなく、南清水沢駅でした。

ここから清水沢駅まで歩き、バスに乗って夕張駅まで向かう段取りです。

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なぜ清水沢地区に寄ったかというと、ここは夕張の新しい中心地になるからです。

ここは炭鉱労働者の公営住宅が立ち並ぶ地区ですが、

幹線道路沿いに集約型コンパクトシティをつくるという構想があります。*1

ともあれ、まずは古い炭鉱住宅群のほうへ足を進めます。

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夕張川に架かる橋を渡ると炭鉱住宅が見えてきました。

淡い青の夕張川。奥に見えるのはおそらく夕張山地。

夕張の語源はアイヌ語の「ユーパロ」(鉱泉の湧き出るところ)だそうで。

今も昔も水が豊かなのは変わっていないかもしれない。

 

その②に続きます。

 

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